これが最後かも知れないから

まるで、「今この瞬間を、ちゃんと写真に収めて欲しい」とでも言うように。
ゴール後に話していると、「チョキと表彰台に乗るのは、これが最後になるかもしれないから」と言う。
チョキはまだまだ、見た感じぴんぴんしている。山に行けば走るし、元気そうだ。
「なにをそんな。薫さんも気が早いな」と思った。

まさかそれから1ヶ月も経たないうちに、チョキがあの世に行ってしまうなんて。
これが最後になるかも知れないから、という薫さんの言葉が、現実になってしまうなんて。
てんかんの発作があったというけれど、あんなに元気だったのに。
ゴールデンウィークだって、一緒にいちご狩りして、いちご食べてたのにね。

のりさんはマルクで、僕はチョキを連れて1時間ほど歩いた。
最初はぎこちなかったけど、だんだん息が合いはじめて、少し仲良くなった気がした。
それからかな。たまに僕の方に寄ってきて、頭を足に乗せて、撫でてくれよ、なんて仕草を見せるようになったのは。
薫さんのトレラン人生はチョキと共にあったと言っても良いくらいの存在だったはず。
たくさんの場所に行って、たくさんの人と一緒に過ごし、愛されたチョキ。
あの世に行っても、元気に駆け回っているんだよ。
2018.5.23
